しなくていい
背伸びをさせてしまっていた。

対等・・いや、あたしを
リードしたかったのかもしれない。


"許せない子供な自分"から
"許せる大人な自分"になりたくて
彼なりに模索していたのかもしれない。

全て・・
あたしが軽率だったばっかりに。


「こんなに好きなのに・・許せない」

「うん」


解ってるよ ごめんね

もっとキツく抱けばいいのに
そうしないのは・・
昨日の事、知っているからでしょ?

たぶん、あの、甲斐って人の事も
優弥は知って電話を掛けてきたのだ。


「いや・・、許さないから___ 」


肩を締めない様に抱き締めながら
優弥は熱い泣き声で囁いた。

知っているからこそ・・
"許さない"と云っておきたかったのだ。


_______ まだ、好きなのに


聞きたい事も我慢して
まだ、大人ぶっている・・

彼らしい。
でも、それが愛おしい・・。


「・・うん」


だけど
許せないのなら、それでいい。

それが
あたしの何もかもが貴方から消える、
良い呪文になるのであれば。


「・・解ってる」


それでもあたし達は道の左側でずっと
抱き合ったまま・・。

離すことをしないのは優弥の方、
彼の中にまだ、密かな
心の葛藤があったのか・・とも思う。



後悔が、諦めに変わるのには時が要る

せめて
気の済むまで・・抱いていて貰おう・・。