窓ガラスはもう覗かれる
心配がないぐらいに
車内に充満する甘い吐息で曇っていた。


「く・・凄・・っ・・」

「ァ・・・・!」


焦らす様にユックリ動くのに
覆い被さった彼の肩を
ギュウと握って・・脱力してる。

何度もナカでイけるなんて・・珍しい。

彼はあたしに前兆があると
激しいキスで声が上がるのを封じた。

終っても繋がったまま

少し体を離した
優弥の薄暗い中の真剣な眼差し。

この男が好きかもしれない・・
思い出したかの、滲み出る感情。

"抱いてあげたい"って思う、
忘れていた・・優しい気持ち。


「・・体重、掛けてもいいよ?」

「潰しちゃ困るから・・ダメだ」

「・・抱いててあげるのに」

「俺のセリフだって・・」


愛おしそうに、火照って暖かい
あたしの顎のラインを
手で摩りながらまた唇を奪い続けてた。


「瑠璃に苛められた気分・・。」


気だるい安堵感に包まれて
広い背を撫でていたあたしは
そのショゲた声に目を丸くした。


「・・何で?」

「スグにイカそうとするし。」


少し身を起こし気に障らない様に
そんな会話を交わしつつ、
優しく後の処理をしてくれるのだ。


「そんなコト云われたって・・
・・・え? どこか行く気なの?」


身を起こして運転席で服の乱れを
直したと思ったらエンジンを掛けた。

これから買い物?

まさかと思いつつ
あたしも慌てて服を調える。


「とことん解り合おうよ」

「は?」

「俺は瑠璃のこと、
頭のてっぺんから足のつま先まで
誰よりも知っておきたいんだ・・。」


走り出した車、
彼は真剣にそう云うが・・
着いたのはこの前来たラブホ。

知っておきたいって・・
そーゆーコトらしい。

云う事がイチイチ可愛くて・・笑った。



そう云えば、あたしも

優弥の事・・何も知らなかったのだ。