「・・・・・!」

「・・・起きた?」


目覚めた時、彼の顔が近くに
あったからちょっと慌てた。


「時間、夕方の四時だし、
まだいいだろ?」

「あ・・・うん。」

「俺・・乱暴だったな・・ごめん。」


静かに詫びながら頬を撫でる手。
乱暴と云うより・・激しかった。

"俺、良かった?" ・・・的な事を聞かれると
女って一気に冷めるけど、

こんな風に謝られたのは初めてでツイ
"ウウン"って素直になっちゃいそうだ。

体重を掛けないコツを知ってる。
そこそこ女には慣れているのだろう。

自惚れているだけはあると言うか・・。


「・・怒ってたんでしょ?」


煙草を取ろうと起き上がれば
後から煙草を取り上げる。

小さく、長い溜息を吐きながら
甘えるかに体をもっと抱き寄せた。


「ごめん・・でも、
ヤルだけで満足なんてできない・・。」


煙草の箱を持ったまま、
腕の中に巻き込み耳元で呟かれると
その熱に身を委ねてしまいたくなる。


「変わった男・・。
フツウ、それだけで満足するものよ?」

「そんな訳あるかよ・・。」


意外過ぎて、
あたしの方が驚いて笑った。

こんなタイクツな女なのに。

じゃあ、何が望みかと聞けば
二言目には"付き合ってくれ"と。

コトが終った後も
こんな風にずっと抱き締められて・・。

ちょっとぐらいは、あたしでも
切なくなってきてしまう。


「ホント、変わってる・・。」


あたしは・・見た目だけでいつも

"金の掛かりそうな女だ"とか、
"男アソビが激しそう"だとか。

そうな風にしか云われない。

ブランド物を身につける訳でもなく
化粧だって濃いわけじゃない

エッチだって今までは、
ちゃんと付き合った男としか
しない主義だった。

そんなあたしに
付き合えって云う男は決って
勘違いの、妙な期待をしてる・・。

許せない、男たちの勝手な妄想。


『・・・特に美人って訳じゃないけど
持ってる雰囲気がキレイなのよ。』


ビアンな親友の絵麻はそう云うが
一度たりとも自覚した事はない。

多分、そう見えるだけなのだ。