「え・・・?」

「あの男が貴方を見てる目は
友達としてなんかじゃない。」

「そんな事、あるわけないわ。
それは気のせいよ・・。」


何を言い出すかと思えば。
あたしは笑って煙草に火を着けた。


「好きな男はいないんでしょ?
俺の事、嫌いじゃないなら、
付き合ってみればいいじゃん。」

「・・付き合ってどうするの?
たまに会ってエッチするだけでしょ?
ふふ、もう面倒臭いわ。」

「面倒って・・。」


その言葉にはさすがの彼も
反論する気力を失った様子だ。

女としてそれもどうかと思うが
あたしの、正直なトコロだった。

男の為に着飾って
男の為に脱毛処理
男の為に服を脱ぎ
男の為に気遣って
男の為に演技する

前はそんなコトやってたのよね・・
なんて、ウッカリ遠い目。

男ウケするものは着なくなったし

脱毛は今じゃエステで
簡単にして貰えるからいいけど
昔はピンセットが
必須アイテムだったよね。

思い出したら滑稽で仕方ない。

あれが面倒でなくて
何が面倒じゃないってのよ。

そー思ったら、やっぱり・・


「独りがラクでいい」

「・・・・。」


あたしは独り、ウン。と頷いたが、
どうしても納得できない様子の彼を
見遣り、煙草片手の頬杖で笑ってしまう。

本当にがっかりした顔をするものだから。


「ごめんね」


フウと彼は溜息でイスに背もたれてた。


「いつから・・
そんな風になっちゃったの?」

「え? さあ・・。」


本当は解っている。
云えば彼を悪戯に刺激し兼ねない。

それに関して反論されるのも面倒だ。

解ってくれたのか、その夜も
ちゃんと大人しく隣のベッドで
グズグズ云わずに寝てくれた。

彼が諦めてくれただけでも
一緒に遊びに来た甲斐があると云うもの。