シャワーを浴びて出てくると
もの凄く不機嫌そうな彼が
部屋のテーブルでビールを飲んでいた。


「スッキリしたでしょ?」

「・・・・るさい。」

「"シない"って云ったじゃなーい。」


ケラケラ笑う私をキッと見上げ、
モロに悔しそうにフテ腐れてる。

さっきはあんなに強気だったのに
逆に可愛い。

彼は多分、
優位に立った事しかないのだろう。

向かいに座るとプイと立ち上がり
シャワールームに入っていった。


「どこであんなコト覚えたんだよ」

「・・・・は?」


石鹸の香りを漂わせて戻って来るなり
あたしに冷えたビールを開けてよこした。

ドカリと目の前に座り、
面白くなさそうに息を吐き出してる。


「二年、貴方より長く生きてるし
その位のこと出来る様になるわよ。」

「・・・・・ねえ。」

「ん・・・?」

「俺と付き合ってよ。」


懲りない直球にちょっと驚いて
口をポカンと開けたまま眺めてしまう。

年下男は缶ビールを握り締め、
白い肌をピンクに染めた顔で
真っ直ぐにあたしを見て云ってた。

クールだとばかり思ってた男が
一度崩れると、
こんなに素直で可愛いだなんて。


「・・・・、テクに惚れたの?」

「ち・・、ちがぁうッ!!」


パキ!

リキみ過ぎて彼の手の中の
アルミ缶が音を立ててる。


「・・俺、貴方が好きだったから
あの、男友達が嫌いだったんだ・・。」