あたしは慌てて見てないフリで
毛だらけになったタオルを畳んでた。

「・・・?」

自分から言い出したのに
何故かまだ躊躇ってる。

クーラーからポカリを1本出して
一口ゴクリと飲んだ後。


「・・カウンター席にいつも
座ってるあの人って・・何者?」

「足立くん?・・友達の事?」

「嫌に仲いいからさ。」

「彼には彼女がいるわ。」


あの日・・
ドア向こうからしっかり見ていたのか。

そう云えばピンでカウンターに
座る男性客は確かに少ない。


「貴方にだって
女友達ぐらいいるでしょ?」

「まあ・・そりゃ・・。」

「あたしが"友達"と呼ぶ人に
性的関係は一切ないのよ。」


彼氏でもないクセに
ちょっと呆れてしまう。

アベルを繋いだ後、
自分も座って煙草に火を着けた。


「別れたら絶対
友達にはなれないタイプだ。」


普通は嫌いになるから別れる。

だけど、
ヒトツも嫌いじゃなないのに
別れた男とはどうなんだろう?

過去にたった1人、そんな男がいた。


「・・・多分ね。」


あたしはまた、
いい加減に答えてしまっている。


「どうして・・タイプでもなく
年下の俺と此処へ来たの?」

「貴方が
行きたいって云ったんじゃない。」

「本当に嫌なら断るだろ?」

「嫌じゃないわ、
好みのタイプじゃないだけよ。」

「何だソレ・・・つまんね。」

「フフ」


携帯用の灰皿に煙草を押し込み、
曇り空を見上げると

向こう側に雨雲らしき
黒い雲が浮いているのが解った。


「あ、________ 一雨くるかも」