翌朝。


「_______オハヨ」



朝早く、
家に自分の車で迎えに来た彼。

後の狭いシートに
犬用のシートを被せ、

彼は出してあった荷物を
後に積んでくれていた。


「入れてもいい?」

「うん」


人懐こいアベルは犬好きに敏感。

ノーリードで
玄関から出されるや否や、
朝一番の取っておきの挨拶、
彼に飛びついて顔を舐めた。


「うはっ・・!
かわいっ・・! コイツ・・!」


少し・・ほっとした。

アベルは逆に、犬嫌いにも
けして近づこうとはしないから。

そこから二時間ほど・・
楽しいドライブになった。

ただ・・不安が1つ。

そのお陰であたしは
心底楽しめないでいた。


そう、 _______ 夜だ。


昨日の帰り、彼にはっきり言っていた。


"エッチするツモリないけど ___

それでもいいの?" ・・と。


「ベッドは2つある?」

「ええ」

「隣で眠れたらいいなァ・・。」


彼はそう云っただけ。

"絶対シナイ"と
云った訳じゃなかった・・。

お客とそんな関係になるのは避けたい。

と云うより・・

恋愛と云うカテゴリに足を踏み入れたく
なかったと云うのが本音かもしれない。

二度は云えない。処女じゃあるまいし・・
かえって気恥ずかしかったから。

その時に約束させれば良かった・・と
後悔していた。

彼が年下だと言う事で
どこか、ナメて掛かっていたのだろう。

運転中、時折
目を合わせては笑い掛ける彼に

"大丈夫だとは思うけど"

なんて思ってたぐらいだから・・。