「フフ、あのコ達だって
からかわれたい年頃じゃない。」


スーツ姿でサボりに
やって来たのは中学の時の同級生。

タイを緩めながら呆れ笑い
いつものカウンター席に座った。

大人になったジャニ系といった感じ。
確かにモヤシ系だった昔より
逞しくはなった。

誰にも秘密だが、
実は昔、好きだった男の子。

今は勿論、友達として好きだ。

偶然この店で再会して以来、
彼はほぼ毎日やって来てくれる。

彼は自分の彼女の事を、
あたしは・・過去の男の事を
彼にだけは相談していた。

・・昨日の事も。


「お前ねー、婚期逃すよ?
そんな男性不信じゃさー・・。」

「結婚に憧れなんて持ってないし・・
悪い例を見ちゃったお陰でね。」

「ふーん・・お前がそれを言うか。
で、その年下ってどの客だ?」


彼にはサッパリ
見当が付かなかったらしい。


「いつもその席の右隣に座ってる
ヤワなイケメンがいるでしょ?」

「は・・!? ああ、彼・・ね。」

「・・なに?」

「いや・・、いいご趣味で・・」

「ちょっと!
ソレ、どーゆーイミでっっ!」


お客が殆どいないのを良い事に
カウンターの中から傍にあった
レードルでコツンと頭を叩いてやった。


「あ・・・・。」


見慣れた車がいつの間にか
窓から見える駐車場に停まってる。

流れ的にガラス戸のドアから
入って来た男を2人して見てた。


「・・・いらっしゃい。」

「こんちは」


ブアイソになりがちなあたしに
足立が目でモノを言う。
気付かれない様に小さく頷いてた。


「・・さ、俺そろそろ行くわ。
チケット切っといてね。」

「いってらっしゃい。」


足立がそう云って出て行くと
彼は静かにいつもの席に座る。

いつもと様子が違った。
どこか暗いと云うか、
落ち込んでいるというか・・。


「・・・なにする?」

「・・ミルクティー。」

「OK」


あまりに元気がないんで
なんか調子狂う。