散々、俺に抱かれた瑠璃は
今、俺の腕の中・・

疲れきった体をくの字に曲げて
腰を引き寄せられたまま眠っている。

肩の骨が痩せて当たると痛い。
元々、細かったのに・・。



"瑠璃さんには____

何でも自分で背負い込む所があるよな・・

その男友達の事だって きっと

お前の若さを心配して云わなかったんだ

秘密の重さに いつか

彼女自身が折れなきゃいいんだけどな・・"


甲斐の言葉が俺の頬をハッた気がした。
俺を想って云えなかったのか・・?


( ・・・瑠璃! )


気が付いたら走り出していた。

先輩はああ云う男だ。
俺にハンデを付けたつもりなんだ。

そんな事より今は
傷付いたままの瑠璃を追いかけて
抱き締める方が先に決ってるだろ・・!


何て云おう、俺____

あの髪、"前の方が好きだ"なんて


後姿を捜して・・走りながら____



・・・あのイベントの翌日
瞬く間に噂になってたんだ。

"レスキュー・イチのモテ男もとうとう
年貢を納める気になったらしいぞ"

殆ど男の職場だから
そう云うくだらない噂はよく入って来て

相手が瑠璃だと聞いた時は
心臓を鷲づかみされた様に息が詰った。

詳しい事が解らなくて
居ても立っても居られなくて

あの夜、思い切って彼女に電話したんだ。


"許さないから"

あれは、俺の本音の我侭だった。


許せないと云う、子供な俺を見限って
プロポーズを受けるんじゃないかって

堪らなく・・怖かった・・。

これ以上、自分を誤魔化す事は出来ない。

俺は気持ちのないキスもセックスも
あれ以来・・する気も失せてしまってた。

だから翔子に別れてほしいと言ったんだ。
"やっぱり忘れられない人がいるんだ"って

彼女は最初、俺に女がいると知っていて
近づいてきたから遊び慣れてると思ってた。

けど・・そうじゃなかったんだよな。

ごめんな、翔子。
俺はもう・・お前も自分も騙せないんだ。


______ いた・・!


イザ、追い着いて瑠璃を目の前にすると
俺は何も言えなくて

衝動的に手を掴んでたんだ____