隣の席のあいつ



予鈴が鳴って、担任の本田先生が入ってきた。

小畑は相変わらず眠り続ける。



本田先生も、もうこればっかりは日常茶飯事。



初めはいちいち注意してたけど、今はもう完全に放置。

言っても小畑は聞かないもの。




「この前の実力テストの結果、廊下に張り出してあるからな。成績不振者は追試だから、心当たりあるやつは確認しとけよー」




先生のひと言に、教室中がざわつく。

そのざわつきが気になったのか、小畑がゆっくり顔を上げた。



・・・・・・うわー完全な寝起きの顔。



こいつ、絶対追試の話聞いてなかったな。



小畑はとろんとした顔で、私の方を見た。

・・・・・・説明を求めてるのかな。

口で言ってくれないと、わからない。



見ただけで気持ちをわかってくれる人なんていないんだから。



・・・・・・まあいいや。

少なくとも、今私は小畑が説明を求めてるって解釈した。

違っても怒らないでよ。



私は小さな声で小畑に言う。




「・・・この前の実力テストの成績不振者は、追試あるから確認しとけだって」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




小畑はしばらくボーっと私を見つめた。

・・・・・かと思うと、また机に突っ伏した。



無反応かよ。



こいつ、本当によくわかんないやつ。