隣の席のあいつ



小畑は何も言わずに、私を引っ張って歩き続ける。



私の家の前に着いて、やっと小畑は手を離した。

小畑が気まずそうに私を見る。



「・・・・・・小畑、どうしたの?」


「・・・・・・・・・・・・・別に」



小畑はそう言って下を向く。

明らかに不機嫌。


普段あまり顔には出ないけど、今ははっきりわかる。



小畑は何も答えない。

口数が少ないって、どうしてこんなに面倒なんだろう。


言葉で言ってくれなきゃ、わからない。

なんで不機嫌なのか。

なにが気に障ったのか。



私はもう一度、小畑に言う。



「小畑・・・言ってくれなきゃわかんないよ?」



小畑は少し顔を上げて、私の方を見る。



見たことのない鋭い眼差し。

冷静だけど優しい、いつもの小畑の眼差しじゃない。




「・・・・小畑?」


「・・・・・・・・・・・俺だってわかんねぇよ」




小畑はそう言うと、私の腕を引っ張って・・・・・・。



私の唇に、自分の唇を重ねた。