隣の席のあいつ



追試前日。

用があって職員室に行くと、本田先生に呼び止められた。



「よう、倉沢。どうだ、小畑の調子は」


「頑張ってますよ、毎日遅くまで。私の教えるペース速かったかもしれないんですけど、ちゃんとついてきてくれて」


「そうか」



先生は嬉しそうに笑った。

生徒思いの本田先生だけど、小畑のことは特に気にかけていたらしい。



「あ、じゃあ今日で最後なんだな。お前らの勉強会」


「え・・・あ、そうですね・・・」


「明日のテスト頑張れって、小畑に伝えといて」



先生はそう言うと、職員室の奥へ消えて行った。




・・・・・・忘れてた。

小畑に勉強を教えてるのは、小畑に追試をクリアさせるためであって。


追試が終わったら、勉強会も終わり。

小畑と無条件に一緒にいられる時間が、終わってしまう。




明日から、勉強会を始める前みたいに戻っちゃうのかな。




小畑は居眠りの常習犯で。

私は真面目なクラス委員で。

1日でひと言も話さない日が続いたりして。



ひと言も話さない日が何日も続いたら・・・。

私が小畑を好きだって気持ちも、なくなっちゃうのかな。