隣の席のあいつ



机が揺れた衝撃で、小畑がゆっくり顔を上げる。

・・・・・・うわ、不機嫌そう。




普段の小畑は、ものすごく無口で無表情。

笑顔なんて見たことない。

話してるとこも見たことないし、声も聞いたことない。

機嫌が悪いときだけ、表情が少し変わるくらい。





今は小畑が不機嫌になろうと関係ない。

私だって、きっと小畑と同じくらい不機嫌だ。




小畑はゆっくりと私を見た。

完全に寝起き。

顔がすごく眠そうだった。




「小畑、英語のレポート出して。あと小畑のだけなんだけど」




私は優しく言った。

起こし方は多少荒っぽかったけど、寝起き早々に怒鳴られるのは、気分のいいものじゃないよね。




小畑はしばらくボーっとして、それから机の中からレポートを出した。

・・・・・・なんだ、ちゃんと持ってるんじゃん。





「ありがとう」




私がそう言うのを待たずに、小畑は再び机に倒れた。