隣の席のあいつ



昨日と同じ交差点に着く。

小畑は左折することなく、当然のように私の横に並んで信号が変わるのを待つ。



「・・・・・・・・・・・・送るから」



信号が変わる瞬間、小畑が小さい声で言った。

私にしか聞こえないくらいの声で。



ドキッとして答えられなかった。

昨日は断る余裕あったのに。

・・・・・今日は全然余裕がない。



信号が変わって、私たちはゆっくり歩き出す。



昨日の帰りと同じ道を、私たちは黙って歩いた。

小畑は、私に人通りの少ない側を譲ってくれた。



・・・さりげなく優しくて、ずるい。



私の心臓は、ドキドキしすぎて破裂しそうだった。




交差点から私の家までは、歩いて10分くらい。

いつも1人で歩いてるときはそんなに長く感じない。

昨日だってそうだった。



なのに今日はすごく長く感じる。




送ってくれなくてもいいのに。

小畑だって疲れてるんだから。

1人で大丈夫だよ。



交差点で言えなかったことが、頭の中を巡る。



今日の私は、おかしい。

小畑に昨日言えたことが、今日は言えない。