隣の席のあいつ




私の家に着くと、時間は夜の7時半を回っていた。



「送ってくれてありがとう」



私は小畑にお礼を言う。

小畑は何も言わずに、頷くだけ。



言葉はないけど、私の言葉は届いてるって思うからそれ以上は何も言わない。



小畑は表情を変えず、私に背を向けてきた道を戻っていく。




私は黙って小畑の後ろ姿を見ていた。



・・・・・本当に掴めないやつ。

急にキュンとさせるようなこと言うし。

自転車から庇ったりするし。



男の子に送ってもらうなんて、初めてだった。



学校から家まで、私はずーっと緊張してた。

こんなに緊張するものなの?

男の子と一緒に帰るのって、あんなにドキドキするものなの?



たとえ違うとしても、小畑の空気がそうさせる。



小畑のバカ。

本当にずるいやつ。



掴めないのに、人の心だけ掴んでいく。



小畑のバカ。

本当に何考えてるの?



少しくらい、ポーカーフェイスの裏側を見せてくれてもいいのに。