隣の席のあいつ



基礎問題を解かせてみて、わかった。



はっきり言って小畑は相当ヤバい。

基礎問題ですら、10問中3問できたらいい方。




それでも、英語と国語はまだマシ。

数学については、状況を説明することすら嫌になる。




勉強を見ることを引き受けたのを、ちょっと後悔した。



・・・・・・でも怒っちゃダメ。

怒られたら、誰だってやる気を無くすに決まってる。

私だってそうだもん。



「小畑、今日は数学だけやる。基本をしっかり説明するから、ちゃんと聞いてね」


「・・・・・・・・・・・・・・・」



小畑は何も言わない。

返事くらいしろ、とも思ったけど・・・。



それでも、頷いてくれただけよしとしよう。




私は参考書を開いて、問題の基礎を説明した。

たまに横目で小畑を見ると、特に眠そうな様子もなく、ちゃんと聞いてくれてるみたい。



・・・・・・へえ、案外やるときは真面目なんだ。



「・・・・・・ここまでわかった?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」



小畑は何も言わないけど、1回だけゆっくり頷く。

わかったんならいいや。



とりあえず、小畑に理解させるのが最優先。



そう思ったら、返事なんかなくてもいいや。