隣の席のあいつ



小畑が呼ばれたのは、実力テストの成績のこと。



小畑はいつも寝てるのに成績がいい。




・・・・・なんてことはなくて、案の定成績不振者だったらしい。

いつもは寝てることを黙認してた先生だけど、さすがに限界だったみたい。


他の先生からも注意されたって。




「小畑、もう少し勉強しないと、大学受験だってもう1年後なんだぞ?」


「・・・・・・・・・・・・」


「お前、進路希望に大学進学って書いてたし、勉強しなきゃ受かるものも受からないぞ」


「・・・・・・・・・・・・」




小畑は黙って先生の方を見ていた。



・・・・・・先生は小畑の考えてることがわかるのかな。

小畑が何も言わなくても、全然怒らない。

なんていうか・・・・・・・小畑の考えてることが全部わかってるって感じ。





「そうだ、倉沢。小畑の勉強見てやってくれないか?」


「えっ?!」


「倉沢なら成績良いし、しっかりしてるから」




突然指名されて、びっくりした。

私が小畑の勉強を見る?


・・・・・・無理!そんなの絶対無理!



ただでさえ、小畑が何考えてるかわかんないのに!




先生は「いい考えだろ?」と言わんばかりに笑っている。



小畑は何も言わない。

黙ってボーっと立ってるだけ。