ここはとりあえず落ち着け

少女はそこから立ち上がり歩いて少年の方へ歩み寄る。

「自転車、壊しちゃって申し訳ないです……」

「あなたの足壊しちゃって申し訳ないです。」

少女はとりあえず自転車に手をかけて持ち上げる。

少年は片目をつぶって、超歯を食いしばっている。

「痛いなら、痛いって言いなよ」

「い、や。大丈夫です……」

すげぇ大丈夫そうでもない声でAを送る少年をよそに、少女は自転車を持ち上げる。

一台持ち上げるだけで二台浮かぶ。

「自分で抜けますか？」

そう問いかける少女に応えようと少年は無理矢理足を引っこ抜いた。

ズボンが余計に破れ、皮膚も肉も余計に破れた。

「有難うございます。」

少年はそう言い、立とうとするものの立てない。

少女は自転車の後ろに絡げてあったスポーツバックから手ぬぐいを出した。

（タオルと間違えて持ってきたけども、ナイスな手ぬぐいだぜ）

そんなことを思いながら少年の方へ行く。

少年は遠慮したが無理矢理　怪我をしている足に結ばれた。

超痛そうな顔をしているが少女はそんなことを無視る。