今あなたに会いに行きます

ー次の日の朝ー

私はやけにうきうきしながら登校した

そのせいかいつもよりかなり早く学校に着いてしまい
まだ門が開いたばかりの時刻だった



愛(よーっし!1番に教室に行って待ち構えてやるんだから!!)


校庭や体育館からは朝練の声が聞こえてくる

まあ、帰宅部の私には朝練なんて関係のない話だけど




教室の前に着くと私は大きく息を吸った



ーーガラッ


愛「私がいっちばーーん!!」


……。



愛「ええええええええ!?」


そこには既にあの転校生がいた

拓「…なに?」

さっきまで外を眺めていた転校生は私の方を見た…いや、睨んだ



愛「い、いや、あの…お、おはようっ!!」


私はちょっと焦りながらも
明るくあいさつをした

しかし
転校生からの返事は返ってこなかった


仕方なく着席



………。


愛(き、気まずい…)


早く来たのはよかったものの

転校生はさっきから話しかけずらいオーラを出しているし

2人だけの沈黙の時間は

さすがに…きつい



愛(せめて一言くらい発してくれてもいいのに…)

愛(でもここは私が話しかけるしか、ないよなぁ…)


私は腹をくくった


愛「ね、ねぇ!哀川くん…だったよね!?」

緊張で少し声が裏返ってしまった


拓「…うん」


また返事がこないかと思っていたが
哀川くんは外を眺めながらも答えてくれた


愛「え、えーと。どこの中学から来たの?」

拓「…」


愛(この質問はダメか…)

愛「どこに住んでるの?」


拓「…研究所」

愛「研究所かぁ。家族がやってるの?」

拓「…違う」


愛「えーと。じゃあ誰の家に住んでるの?」

拓「…小山博士の家」

愛「ご両親…は?」


拓「…いない」


愛(あ…まずいこと聞いたかも)


明らかに空気が重くなるのを感じた


愛「な、なんかごめん」

拓「別に…元からいないし」

愛(きっと複雑な家庭なんだろうな…)


愛「好きな食べ物とかある?」

わざと少し明るく聞いてみた


拓「特にない」

愛「えーと、じゃあ…」



その後も他の生徒が来るまで質問をし続けてみた

哀川くんが振り返ることはなかったけど、私が聞いたことに答えてくれた



そっけない感じでも

なんだか、嬉しかった