【林檎SIDE】

 「あ、林檎ぉ~」

 廊下を歩いてると、私の名前を呼ぶ声がする。
 それが秋くんだったらいいな…… と、何回思っただろう。
 声の主は私の親友 唄羽花蓮。
 中学生の時 はまっていたアニメの話で盛り上がり、そこから親友へ発展した。

 「いたいた めっちゃ探したよ!」

 花蓮はスキンシップが多い子だ。
 今だって私に抱きついている。
 それに嫌気がさしているわけではない、寧ろ好感を抱くくらいだ。
 スキンシップをされることによって、「私には友達がいるんだ」と感じる。

 「ねぇねぇ、聞いた? 竜牙秋のこと」
 「秋くんのこと?」

 私は花蓮にオウム返しをした。
 竜牙秋。 私の幼馴染。
 昔はよくサッカーや野球で遊んだりしてた。
 雑草を多く抜いた方が勝ち という子供らしい遊びもやった覚えがある。
 けど、学校で会話をしたことがほとんどない。
 漫画や小説で読む男女の幼馴染とは180°違う関係は少し嫌だった。

 「知らないの? 秋ね……」

 花蓮の言葉に私は絶句した。

 「停学処分を食らったんだって」

 頭が真っ白になった瞬間だった。