まだ夕方だというのに外は真っ暗だった。
家に入ると暖かくてほっとする。
「ただいま」
いつもすぐに返事が返ってくる。
「おかえり。ご飯できてるよ」
「うん」
あたしは着替えるために自分の部屋へ向かった。
部屋着に着替えたあたしは
ご飯を食べてまたすぐに自分の部屋へ
戻ってきてベッドへ横になる。
あの男の子が忘れられない・・・
男の子のことを考えていると、
瞼が重くなってきた。

遠くから携帯の着信音が聞こえてきた。
あたしは眠っていたみたいだ。
携帯に出ると・・・
「もしもしっ」
焦ったような男の子の声。
「も、もしもし?」
「あの、それ僕の携帯なんです!」
「っえ?どういうことですか??」
耳から携帯を離して携帯を確認するが、
どう見たってあたしの携帯だ。
「多分僕の携帯と間違えたんだと・・・」
そんなわけないと思いつつ、
カバンの中を確認すると・・・・・
全く同じ携帯がカバンのポケットに入っていた。
「・・・・間違えた、みたいですね」
あたしはどこで間違えたのか
記憶をたどってみると、
「喫茶店!?」
ということは、この電話の相手はあの、男の子?
「あの・・・カウンター席に座ってたりしました?」
「はい」
やっぱりそうだった。
「携帯・・・どうしましょう」
「喫茶店にいてくれれば取りに行きます」
と男の子が言う。
「わ、わかりました」
「じゃあ明日、学校が終わったあとに向かいます」
「あたしもそうします」
「ありがとうございます。お願いしますそれじゃあ」
「はい」
どこか聞き覚えのある声だった。