「花奈ちゃん、バイバイ」
「バイバイ」
学校が終わり、花奈ちゃんに手を振った。


あたしの名前は佐々木波流。
高校生になって半年以上過ぎたころだった。
肌寒く感じるこの頃。
冬に向けてマフラーを買いにいくことにした。
よく行くお店で買い物を済ませたあたしは、
喫茶店に寄ることにした。
その喫茶店がある場所は
普通に歩いてたら気付かないようなところにある。
花奈ちゃんとは何度も来たことがあって、
寄り道したくなってしまった。

「チャリーン」
喫茶店のドアを開けると、
風鈴のようなベルのような可愛らしい音が鳴る。
いつも座っているカウンター席には
同い年くらいの男の子が座っていた。
どこかで見たことあるような・・・
そんな気がした。
「いらっしゃいませ、あっ波流ちゃん」
いつも笑顔の店長さん。
「どうも」
あたしもつられて笑顔になってしまうくらい。
いつも座っているカウンター席の
1つ開けて隣に座ることにした。
「ホットミルクティーください」
「かしこまりました」
冷えた体を温めるためホットミルクティーを頼んだ。
カウンター席にいる男の子が少し気になった
あたしは、ちらっと見てみた。
頬杖をついていて表情はよく見えない。
「どうぞ」
と、店長さんはミルクティーを差し出した。
「あの子、気になるの?」
と問いかけてくる店長さん。
あたしが男の子を見てたことが
バレてたらしい。
「いや、そういうわけでは」
そう言ったあたしにニヤニヤしながら戻る店長さん。
普通にしてればカッコいいおじさんなのに・・・
そんなことを考えていると、
男の子がお会計をするところだった。
やっと見れた男の子の顔。
あんな顔見たことないっていうくらい美形だった。
「・・・カッコいい」
恋愛に興味が無く、疎いあたしでさえ
口に出してしまうほどであった。
お会計が済んだのか、
男の子が帰るときだった。
一瞬目が合い、微笑んでくれた・・・そんな気がした。
しばらく経ってあたしも帰ろうとしたとき、
あたしとまったく同じ携帯が
置いてあった。
あたし、携帯いつだしたっけ?
カバンの中から出した記憶はないが、
あたしの携帯だし、カバンの中へ入れた。