ピンポ~ン♪

3月3日 夜7時 。

去年と同じ日、同じ時間に、去年と同じ逃げ出したい気持ちをやっと押さえ、俺は雅の家のインターフォンを鳴らした。

「は~い」

耳に心地よい声と共に、家の中からパタパタと足音を響かせて駆け寄ってくる雅の姿も、何もかも去年と同じだ。


はぁ……。


あの悪夢を思い出し、小さくため息を付いた俺を見る雅の瞳には、一瞬、哀れみとも取れる複雑な表情が浮かんだ。

分かっているなら、阻止しろよ。