勇気の『おまえんちの両親』と言う言葉に何か引っ掛かりを感じながらも、ニコッと笑って答える。

勇気はドアを閉めてベッドの傍においてある小さなテーブルの下に紙袋を置くと、そのままベッドを背もたれにするように座り込んで、この間からあたしの部屋へ来るたびに読みふけっているシリーズ物の探偵小説を読み始めた。

「あたしもお風呂に入ってくるから、勇気はゆっくりしていてね。
後で英語を教えて欲しいんだけど…いい?」

「ああ、いいよ。風呂入って来いよ。
俺、この本読んでるし。」

「うん、そこのミニ冷蔵庫に飲物入っているから、ご自由にどうぞ。じゃあね。」

あたしはそういい残して、自分の部屋を後にした。

このとき勇気の持っていた紙袋の事なんて考えてもみなかった。

この後勇気にあげる誕生プレゼントをどう言って渡すかで頭がいっぱいだったから。