今日は3月3日。

毎年この日、俺は雅の母親に苦汁を飲まされてきた。

イベント好きの雅の母親によって、愛らしい桃の節句と健全か不健全か解らない青少年の誕生日というミスマッチなお祝いを、ありがたくもドッキングされてしまうせいだ。

おばさんが腕によりをかけた、俺の大嫌いな生クリームたっぷりの巨大ケーキは、年々でかくなっていく。

それに年の数だけのロウソクをたてて…

『はいっ♪勇気クン、ふう~ってしてね?』

ニッコリ微笑むおばさんの黒い笑みを思い出しザワリと鳥肌が立つ。

うぎゃーっ!思い出したくもないっ。

『まあ♪じょうずねぇ~勇気クン』

うひーっ、思い出したくないのに頭の中で勝手にリプレイされちまうっ!

ああっ、もう、拍手なんかしてんじゃねぇよ?

だいたい、ケーキにふぅぅぅ~って、俺は幾つだよっ?

しっかり鳥になった腕を擦りながら頭の中の画像を揉み消し、そんなイベントも去年までだ、と心で呟く。

そう、今年こそは雅と二人きり♪甘い誕生日を過ごすのだ。