「うーん…X=2!!」
「はい、残念。X=5でした。」
バイトから帰った兄ちゃんは、本当に勉強をみてくれていた。
普段はふざけてばっかりだけど、やっぱ頭いいよなぁ…。
「使う公式が違うんだよ。この問題はこっちの公式。」
「…僕にはもう無理だ……」
「諦めないの。」
ホットコーヒーを飲みながら微笑む兄ちゃん。
うん、様になってる。
「…何で僕こんなにバカなんだろ?」
「翔太はバカじゃないよ。」
「兄ちゃん……」
なんだかんだ言っても良い兄だよな…と感動していたら、兄ちゃんの指が伸びてきて、僕の額をつついた。
「バカじゃなくて、アホなんだよ。」
「……………」
目の前には楽しそうに笑う顔。
「あははは、その顔サイコー!」
腹を抱えて笑う兄ちゃんを睨み付ける。
「あははは、ごめんね。翔太って面白いから、つい。」
「最低ー…」
「よく言われる。」
たぶん今まで付き合ってきた彼女たちが言ったんだろうな…。


