「知ってるよ、じゃなくて…。僕の部屋で何してるわけ?」



僕のベッドに寝転がっている兄ちゃんは、何やら雑誌を読んでいる。



「翔太(ショウタ)の帰り待ってたんだよ。ほら、」



と兄ちゃんは起き上がり、僕に向かって両手を広げた。



「何?」
「お帰りのハグ」
「……兄ちゃん、もしかして」


僕は鞄をおいて、兄ちゃんを疑いの眼差しで見た。



「また彼女と別れたんじゃ…」
「あ、バレちゃった?」


やっぱりか……。



兄ちゃんはすごくモテる。

でも大抵1ヶ月と保たないうちに別れる。

兄ちゃんが振るのかと思いきや、その逆で…。



「またイジメたの?」
「違うよー。俺なりの愛情表現。」



兄ちゃんは度がつくほどの、S人間だ。


だから彼女達は、堪えきれなくなって兄ちゃんから逃げ出す。


「俺の何が不満なんだろうねー?」