「―――た、」
「んー…」
「翔太、起きて。」
体を揺すられて、重たい瞼を開ける。
あ……兄ちゃんだ。
「兄ちゃん、」
久々に兄ちゃんの顔ちゃんと見た。
嬉しくて、僕は兄ちゃんに抱きつく。
「翔太?寝ぼけてる?」
「兄ちゃん、兄ちゃん」
「?」
「兄ちゃん好きだよ。」
「………」
兄ちゃんが僕を好きじゃなくても、僕は兄ちゃんが好きだ。
「…翔太」
「愛してくれなくて良いから……嫌いにならないで。」
抱きつく腕に力を込めると、兄ちゃんはさらに強い力で僕を引きはがした。
寝ぼけていた頭が、急に現実に引き戻される。
あ……れ?
僕なんか変なこと言ってなかった…?
「限界だ。」
ちょっと俯いて、兄ちゃんは言った。


