次の朝、リビングで兄ちゃんは一人朝食を食べていた。
共働きの両親は朝早く、夜は遅い。
泊まりがけも珍しくはない。
今日も両親はすでに出勤したらしい。
「……おはよ、兄ちゃん」
「…おはよう……」
食べかけのパンを置いて、兄ちゃんは立ち上がる。
「学校行ってくるよ。翔太も早く行きなよ。」
「うん……。兄ちゃん、今日は勉強みてくれる?」
「今日もバイトで遅くなるから……また、今度ね。」
“また今度”
「いってらっしゃい…」
やっぱり今朝も目が合うことはなく、兄ちゃんは家から出て行った。
ねぇ、兄ちゃん。
また今度っていつ?
今度なんて本当にあるのかな?


