『・・・父さん・・・母さん!!』


 最後の力を振り絞り、彩は声の限り叫ぶ。


『逃げて――!!!!』


 アヤカシの手から衝撃波が再び放たれたのは、それと同時だった――。


「・・・・・・」


 美樹は言葉を紡ぎ出すことが出来なかった。


「悠と諒は、すぐに帰って来てくれた。でも・・・あたしの両親を助けるには・・・間に合わなかった」


 いつの間にか灰皿に置きっぱなしになっていた煙草が燃え尽きて、フィルターがテーブルに落ちていた。
 壮絶な彩の過去。


「あ、そんな顔すんなよ。ごめん、美樹のこと元気付ける為に誘ったのに、あたしったら・・・なに言ってんだろ」


 慌てて謝る彩。 


 美樹は、大丈夫よ、と首を振った。


「話してくれて良かった。私の知らない彩のこと、知る事が出来たもの」
「そっか・・・でもね、もう少し、続きがあるんだ」


 聞きたい? と彩が言うので、美樹は頷く。