「申し訳ないけど、ここで待ってて貰えますか?」
悠と呼ばれた男は相変わらずにこやかにそう言って、店の奥に消えた。
すぐにもう一人が戻ってきて、店のカウンターに座る。
悠とは違って、やたらと無口で無愛想な男だった。
仕方がないので、美樹はさっき入れたコーヒーを男の目の前に差し出す。
「・・・ありがとな」
短く礼を言ってコーヒーを一口飲み、彼は少し驚いたような表情を浮かべた。
「旨いな」
「そう? 良かった・・・あの」
「諒(りょう)、だ」
「諒、さん」
無愛想なこの男は、諒という名前か。
会話はそれだけで、あとはひたすら無言。
諒がコーヒーを半分ほど飲み終えたが、物音は殆どなく、家の中の様子がまるで分からない。
ここで待っていろ、と言われたが。
「あの・・・諒、さん?」
耐えきれず、美樹は口を開く。
諒が顔を上げた。
「彼女、本当に大丈夫ですか?」
「あぁ。悠が『癒し』てる」
微妙な言い回し。
「悠さんって、お医者さんなの?」
至極真面目に聞いたつもりなのだが。
途端に、諒は笑いだした。
悠と呼ばれた男は相変わらずにこやかにそう言って、店の奥に消えた。
すぐにもう一人が戻ってきて、店のカウンターに座る。
悠とは違って、やたらと無口で無愛想な男だった。
仕方がないので、美樹はさっき入れたコーヒーを男の目の前に差し出す。
「・・・ありがとな」
短く礼を言ってコーヒーを一口飲み、彼は少し驚いたような表情を浮かべた。
「旨いな」
「そう? 良かった・・・あの」
「諒(りょう)、だ」
「諒、さん」
無愛想なこの男は、諒という名前か。
会話はそれだけで、あとはひたすら無言。
諒がコーヒーを半分ほど飲み終えたが、物音は殆どなく、家の中の様子がまるで分からない。
ここで待っていろ、と言われたが。
「あの・・・諒、さん?」
耐えきれず、美樹は口を開く。
諒が顔を上げた。
「彼女、本当に大丈夫ですか?」
「あぁ。悠が『癒し』てる」
微妙な言い回し。
「悠さんって、お医者さんなの?」
至極真面目に聞いたつもりなのだが。
途端に、諒は笑いだした。

