A-YA-KA-SHI☆バスター!!

「申し訳ないけど、ここで待ってて貰えますか?」


 悠と呼ばれた男は相変わらずにこやかにそう言って、店の奥に消えた。
 すぐにもう一人が戻ってきて、店のカウンターに座る。
 悠とは違って、やたらと無口で無愛想な男だった。
 仕方がないので、美樹はさっき入れたコーヒーを男の目の前に差し出す。


「・・・ありがとな」


 短く礼を言ってコーヒーを一口飲み、彼は少し驚いたような表情を浮かべた。


「旨いな」
「そう? 良かった・・・あの」
「諒(りょう)、だ」
「諒、さん」


 無愛想なこの男は、諒という名前か。
 会話はそれだけで、あとはひたすら無言。
 諒がコーヒーを半分ほど飲み終えたが、物音は殆どなく、家の中の様子がまるで分からない。
 ここで待っていろ、と言われたが。


「あの・・・諒、さん?」


 耐えきれず、美樹は口を開く。
 諒が顔を上げた。


「彼女、本当に大丈夫ですか?」
「あぁ。悠が『癒し』てる」


 微妙な言い回し。


「悠さんって、お医者さんなの?」


 至極真面目に聞いたつもりなのだが。
 途端に、諒は笑いだした。