「今回は俺達が悪かった。まさかこんな事になるとは思ってなかったから」


 真剣な顔で、諒は言った。
 彩はふっと笑う。


「大丈夫だよ。あたしも美樹も無事だったんだから。それに、帰らないと・・・あんたらの力が弱くなるんだからさ・・・」


 諒は黙っていた。
 そして、彩は思い出したように言う。


「あの女は? あたし・・・まるで戦えなかった」
「あぁ、美樹が、向こうに返した」
「美樹が?」


 悠は“偶然だろう”と言っているけど、と諒は付け加えた。
 彩は、何かを考えるように黙りこむ。


「考えるの、後にしろよ」


 諒は言った。


「今は、悠にその傷を治してもらうのが先だろ。今考えたって何も変わらないんだ」


 もう少しで店に着く。
 気恥ずかしいのか 、彩はまた一人で歩くと言い出したが、諒は断固として彩を離さなかった。