悠に支えられて歩きながら、美樹は思う。
 諒が彩の方に向かったと言っていたが “気配”で居場所だけじゃなく、身体の状態まで分かるのだろうか?


「何でも知ってるんだ・・・」


 一緒に歩きながら、美樹は小声で呟く。
 聞こえているのかいないのか、悠は黙っていた。


「さ、着いたよ。そこに座って、腕、見せて」
「腕?」
「怪我してるでしょ。ちょっと見せて?」


 そう言えばさっきの戦闘で怪我をしていた。
 すっかり忘れていたが、悠はそんなことまで分かるのか。
 美樹がそんなことを考えていると、悠はおもむろに美樹のブラウスの袖をめくる。


「ちょっ・・・悠くん」
「じっとして」


 悠が、美樹の腕に手を当てた。
 それはほんのりと温かく、徐々に痛みが消えていく。


「しばらく赤みは残ると思うけど・・・ごめんね」
「ふふ。何で悠くんが謝るの? ありがとう」


 これが、悠の『癒し』の力なのか。
 身体の奥まで、心まで癒されるような気がして、美樹は目を閉じた。