が、彩は後ろからアヤカシめがけて、飛び蹴りをくらわした。
 不意討ちをくらった形になり、アヤカシは横に倒れる。


「行け!」


 彩が叫ぶのと同時に、店に向かって全力疾走する美樹。
 倒されたアヤカシは、まるで重力を無視したようにゆらりと起き上がった。


「実体化してるから、物理攻撃、普通に通用するんじゃん」


 ポキポキと指の関節を鳴らし、ニヤリと笑う彩。
 アヤカシはそれにかまわずに美樹を追いかけようとするが、再度彩が立ちはだかった。


「相手はあたし。空気読めよ、それくらい!!」


 彩は閃光を手から放つと同時に、女めがけて飛んだ。
 女は片手で軽々と閃光をはじき飛ばし、さらに彩に向かって衝撃波を放つ。
 彩は軽い身のこなしで横に飛びすさると、その体制のまま、また攻撃する。
 だが、それも軽くかわされた。


「・・・チッ」


 舌打ち。
 今度は女から仕掛けてくる。
 高く飛び上がり、彩もなんとか相手の攻撃をかわした。
 だが着地点を狙われ、体のバランスが崩れる。
 そこへ、立て続けに飛んでくる衝撃波。
 慌てて避けようとするが、それは彩の左の肩を掠り、激痛が走る。