A-YA-KA-SHI☆バスター!!

 そうしている間にも、海の方で時折閃光が走る。
 彼女は黙ったままそれを、じっと見つめていた。


「・・・どうぞ」


 成り行きとはいえ、こんな状態では彼女が風邪をひいてしまうかも知れない。
 それにどこか心ここにあらずという感じなので、コーヒーでも飲んで落ち着いてくれれば。


「あ、ありがとう」


 そこで彼女は初めてこっちを向いて、お礼を言って笑った。
 もしかして、そんなに変な人ではないのかも知れない。
 つられて、美樹も笑顔を返す。
 そしてまた、一際強い閃光が辺りを包む。


「やっぱヤバいかなぁ・・・行かなきゃ」


 コーヒーを一口飲んだだけで、彼女は呟いて立ち上がろうとした。
 だが、その足元は覚束ない。


「具合悪そうなのに、どこ行くんですか・・・って、すごい熱!」


 思わず支えたその体は、服の上からでも分かるほど熱かった。
 半ば強制的に椅子に座らせて、美樹は救急車を呼ぼうとカウンターの隅に置いてある電話に手をかける。
 だがその時、おもむろに店のドアが開いた。