A-YA-KA-SHI☆バスター!!

「ねぇ彩、悠くんと諒くんもこのことわかってる?」


 確か、気配で分かるんじゃなかったのか。
 あの二人が戻ってきてさえくれれば。


「多分、ね」


 だが、彩の答えはいまいち歯切れが悪い。
 車のエンジンをスタートさせて、彩はアクセルを踏み込む。


「どこへ向かうの?」


 美樹が聞いた。


「何処にも。まず、時間稼ぎだな。その後はケースバイケースで」


 運転しながら彩は煙草を取り出し、窓を開けて火を着けた。


「そんな悠長なこと言って・・・」


 言いながら、美樹は後ろを振り返る。
 だが、アヤカシは追ってくる様子はなかった。
 その代わり、止まって車を降りた途端襲ってくるはずだ、と彩は言った。


「悠くん達・・・この状況に気が付いて帰ってきてくれないかな?」
「やつら、今こっちにいないから」


 煙草の煙を吐きながら、彩はゆっくりと言った。


「こっち、って・・・?」
「あたし達の世界。言ったろ、あいつら、実体がないって」