もうすぐ秋も終わり、寒い冬がやってくるというのに、空は晴れ、動いていると少し汗ばむ位の陽気だった。
 彩は、海の目の前の喫茶店『free‐time』の看板を外に出し、眩しそうに目を細めた。


「いい天気だな、今日は」


 両手を大きく伸ばす。
 この前の激闘を繰り広げてからもう一ヶ月が過ぎ、あの時負った怪我もすっかり完治した。


「彩姉さん、おはよう!」
「おはよ~友香!! いい天気だね!」


 友香はあれ以来毎朝、店の前の道を通って学校へ通うようになっていた。


「あのね、あたし昨日、電車の中でものすごくかっこいい人見つけちゃった!」
「毎日毎日そんなことばかり言ってねーで、少しは勉強したら?」
「大丈夫、ちゃんとしてるもん。でも恋はしたいよね♪」
「はいはいそうですか。せいぜい頑張れよ」


 他愛もない会話が嬉しくて仕方がないというように、友香は毎日色々なことを話していく。