「・・・!?」


 屋上に備え付けてあるタンクの上。
 そこに、一人の女が座っていた。
 コンクリートの欠片を避けながら、振り向きざまに彩は衝撃波を繰り出した。
 だが、女はそれを片手で受け止め、軽く握り潰す。


「人間にしてはいい動きだけど・・・まだまだね。彼はどうして、こんな弱い人間を欲しがったのかしら」


 彩は着地して、女を睨む。
 女は間違いなくアヤカシ。
 だが、こんな風に実体化して、しかもちゃんとした意思を持っている。
 間違いなく、悠や諒クラス。
 まともに戦ったら。


「でもさ」


 彩は、再び女に向かって跳躍した。


「今ここで、負ける訳にはいかないんだよね!!」


 まず友香を、そして美樹を助けるまでは。
 だが女は、薄笑いを浮かべて軽く彩を避けた。