「もし、美樹さんが私達の戦いを終わらせるつもりでも、あなた達がこれからやるべきことは、何か変わるのかしら?」


 彩は顔を上げた。
 悠も諒も、真剣な顔をしている。


「港・・・ね」


 彩は呟く。
 だが、向こうの方から迎えが来たらしい。
 彩は、悠と諒を交互に見つめた。


「あいつは、あたしの担当だよな」


 テラスから庭を見ると、友香がそこに立っていた。
 制服を着たまま、じっとこっちを見ている。
 彩は立ち上がる。


「こっちは早めに終わらせるからさ、お前らは港に行けよ」
「一人で大丈夫か?」


 諒の言葉に、彩は笑って答えた。
 不敵な笑み。
 彩の身体から、今までに感じた事のないくらいに“気”が湧き上がっている。
 彩は、怒っている。
 今までに見たことがない、静かで深い怒り。