「待て。今は、そっとしておいた方がいい」
「何でだよ!?」


 彩は諒の手を振り解こうとするが、諒は放さない。


「俺も諒に賛成だ、彩。美樹ちゃんから何か言ってくるのを待とう」
「でも・・・!!」


 まだ食い下がる彩に、諒は黙って首を横に振る。


「彩。俺達が、ここにいる。そして、お前もこの場所にいるんだ。わかるだろ?」


 諒のその言葉を聞いて、彩は動きを止めた。
 これは、美樹自身の問題。
 美樹がどんな答えを出そうとも、信じて待つしかない。
 ただ、見守って。
 それがこんなに、辛いなんて。


「どうして気付かなかったんだよ・・・アイツ、美樹に何をしたんだ・・・!」
「あぁ、俺たちまで気付かないなんて・・・な」


 悠が悔しそうに言った。
 諒はカウンターの椅子に座ると、それきり黙り込んでしまう。
 きっと2人とも、同じようにもどかしいのだ。
 まさか、こんな風に奇襲されるとは思ってはいなかった。
 だが3人は、美樹の出す答えを黙って待つしかない。