A-YA-KA-SHI☆バスター!!

☆  ☆  ☆



 開店時間の一時間前に目が覚めた。
 窓の外を見ると、雨が降っていた。そんなに激しい雨ではなく、静かに降る雨。


「おはよう、二人とも」


 エプロンをかけながら店に出ると、悠と諒がそれぞれ雑巾とモップを持って掃除をしていた。


「おはよう美樹ちゃん、疲れてない?」
「大丈夫! 今日も頑張るよ」


 ガッツポーズを作ってみせるが、あまり眠れてないのはその表情で分かる。
 彩はまだ、あのままソファで眠っていた。
 掃除は二人に任せて、美樹はカウンターの中で今日の仕込みを始めた。


「あ、卵・・・買うの忘れてたわ。悠くん、申し訳ないけど買いに行って・・・」


 美樹はそう言いかけて、悠が全く動いていないことに気付いた。


「悠くん?」


 よく見たら、諒もテーブルを拭く体勢のまま、止まっている。


「何、これ・・・?」


 美樹はカウンターから飛び出す。
 その時、ドアのカウベルか鳴った。
 振り向くと、長髪を後ろでまとめた男が立っていた。