店に帰ってくる頃には、外はすっかり暗くなっていた。
 車中、誰も口を聞かない。
 美樹が運転していて、助手席には悠が乗っている。
 後部座席の彩は目を閉じて、諒にもたれかかっていた。


「着いたよ」


 店に帰り、美樹は駐車場に車を停める。
 彩はもう一人で歩くのもやっとの状態で、みんなに支えられながら家のリビングに入る。


「やっぱり、休む?」


 心配そうに彩の顔を覗き込み、美樹は言った。
 外傷こそあまりないが、内面的なダメージがかなり大きいらしいというのは、悠じゃなくても分かる。


「大丈夫。話が終わってから、ゆっくり休むから」


 彩は言った。
 美樹がみんなの分のコーヒーを入れてテーブルに落ち着くと、彩は自分が見た今回の元凶と思われる人物、永野和也のことを詳細に話す。