「ただいま、美樹ちゃん」


 その声に、美樹は顔を上げた。
 そこには悠と諒が立っている。


「悠くん、諒くん!! 彩が」
「分かってる。あいつ、また後先考えないで動いたな」


 悠は苦渋の表情を浮かべる。


「参ったな」


 諒も、腕組みをしたまま真剣な顔を浮かべていた。


「彩の気配が・・・消えた」
「彩が、何処かで倒れてるの・・・」


 頭に浮かぶビジョン。
 諒が、部屋を出て行こうとする。
 だがそれを、悠が止めた。


「待て諒。まず何があったのか、美樹ちゃんに聞かなきゃならないだろ」
「そんな時間があれば、な」


 諒はイライラと言い返す。
 こんな諒は初めて見た。
 それだけでも、今この状態が余程切羽詰まった状況だということが簡単に想像できる。
 そんなことはお構いなしに、悠は美樹をソファーに座るように促して、自分もテーブルの横に座った。


「話してくれるかな。俺たちがいない間に、何があったのか」