「も~・・・」


 イライラと歯軋りしながら、彩は友香の気配を探る。
 早朝だけあって、街は誰もいなく、静まり返っていた。
 そして、1つだけ違和感のある建物を見つける。
 それはマンションのような建物だった。


「見ぃつけた」


 マンションの屋上。
 制服姿が、目に入る。
 彩は、マンションの中に入っていった。



☆  ☆  ☆



 美樹が目を覚ましたのは、朝日が昇ったばかりの時間だった。
 不快な目覚めだ。
 心臓がドキドキする。
 思わず、枕元に置いてある家の電話の子機を手に取る。
 苦しさが増して、自分の携帯番号を押すのにも、いつもより時間がかかる。
 いや、焦っているだけなのかも知れない。


「彩・・・!」


 そっちはダメだ。
 彩が倒れているビジョンが脳裏に浮かぶ。
 ようやく番号を押し終えて、胸に手を当てながら受話器を耳に当てた。
 だが、電波が届かないか、電源が入っていないというお決まりのアナウンスが流れるだけ。
 苦しさは、どんどん増して。
 もうどうにもならなくて。


「悠くん・・・諒くん!!」


 思いきり、叫んだ。