「いいじゃん、実家に帰省中とかで」
「ま、それでもいいんだけど・・・」


 それにしても。
 悠たちが帰省するというのは、今朝いきなり聞いた。
 昨日はそんなことは言ってなかったのに。
 彩も何だか、悠たちがいないのに、落ち着きすぎているのが気になる。


「ねぇ、彩?」


 美樹は、思いきって聞いてみた。


「なに?」
「今回は・・・寂しく、ないの? 悠くんや諒くんがいなくなって」


 彩は、少し苦笑する。


「そりゃ正直、寂しいよ。でもさ」


 何故か彩は、頼んでもいないのにホウキで床を掃き始めた。
 美樹に背中を向けて。


「今は、あんたがいるだろ、美樹」
「・・・・・・」


 一瞬聞き取りにくいような小さな声で。
 美樹は、クスッと笑う。


「ありがと、彩」
「あっ、ほら、お客さん来た」


 いらっしゃいませ、と元気に挨拶をする彩。