笑顔を残して去っていく彼女を見送り、諒はなんだかいい気分のまま店に帰る。


「諒~くん~・・・」


 帰った途端、美樹に呼び止められる。


「さっきの値引きは何かなぁ~?」


 今日一番、視線が恐い。
 諒は正直に、いきさつを話す。


「それって・・・もう、バカね」
「なんだよ」


 意味が分からない。
 べつにぃ、と美樹は仕事に戻る。
 しっかり値引き180円分、諒に仕事を言いつけてから。
 諒は、訳もわからずにひたすら皿洗いを続けていた。