「こっちの世界で生活するようになって、いろんな楽しいことがあるのに気付いたからさ。アホみたいな人間もいるしな。見ていて飽きない」
「誰のことだよ」


 本当は、諒にはもっと違う理由もあるのだが。


『お前がいるから』


 それはまだ、どういう訳か彩には直接言うことは出来ないでいる。
 そんな自分に苦笑している諒。
 久しぶりに、彩は諒の素直な笑顔を見たような気がする。


「ま、いいことじゃん」


 つられて、彩も笑う。