ここに二人も、アヤカシと戦う力を持った人間がいるのだ。
 他にもそんな人間がいて、そして、敵方に付いてもおかしくはない。
 もうすでに、アヤカシだけの問題ではなくなっているということなのか。
 でもまさか自分がそんなことに関係するなんて、思ってもみなかった。
 ――だけど。
 胸騒ぎは、未だに収まる気配はなかった。それどころかますます鼓動は激しくなる。
 まるでフラッシュバックのような光景が、時折脳裏に浮かぶ。
 悠や諒、それに、彩が戦っているシーンと。
 今までに見たことのないアヤカシが、自分の方を見ている。
 美樹は、彼らにとって邪魔な存在。
 アヤカシが、こっちに向かって手を伸ばす。
 それを、あの3人が身体を張って阻止しようとして。


「!!」


 美樹は、いきなり立ち上がる。
 その勢いで、テーブルの上のティーカップが音を立てて倒れた。


「わたし・・・やっぱりあなた達の力になんて、なれません」
「・・・・・・」


 婦人は、黙って美樹を見上げた。