「アヤカシ・・・?」


 やっとのことで繋がった思考を、言葉にしてみる。
 真っ直ぐに美樹を見つめたまま、婦人は頷く。


「人間の父親と、アヤカシの母親との間に生まれたのが・・・美樹さん、あなたなの」


 信じられない。
 生まれた時から、普通の家庭で普通に育ってきた。
 それなのに。


「過去にそういったことがなかった訳ではないの。ただそんな興味深い人間を、アヤカシが放っておくことはないわ・・・少しは、聞いてるのよね、私たちの世界のこと」


 人間を脅かそうとする存在と、共存しようとする存在。
 そんなアヤカシが戦っている、と。


「あなたのお母様は私達の仲間だった。それも、とても強力な力を持っていたわ。そうね・・・悠と諒、あの子達でも、全然敵わないくらいに」


 ずっと実体化していられるのは、力が強いから。
 そんな話を、彩から聞いた。