「似てないんですね」


 思わず本音を言った美樹に、悠は苦笑する。


「うん、よく言われる」


 いや、今はこの二人が似ているか似ていないかなんて問題ではない。
 中川美恵子の孫って言ったのか?
 今日からここに住む?


「でも、全然そんなこと聞いてないですよ?」
「聞いたら、この店のオーナーになる話、断ってたでしょ?」


 ・・・確かに。
 こんな見ず知らずの男女と同居が条件だと分かったら、断っていたかも知れない。
 こちとら、花も恥じらう嫁入り前なのだ。
 それを見越して、中川美恵子は美樹にこんな大事なことを隠していたのか。
 でもどうして、そんなことをするのだろう?


「てことで。よろしく、美樹ちゃん」


 当然、この二人は美樹の名前を知っている。
 愕然としていると、店の奥から、彩が顔を出した。
 まだ顔色がすぐれないが、さっきよりは大分しっかり立っていられるようだ。


「目が覚めた? 気分は?」
「最悪」


 辛そうに頭を押さえる彩。


「もっとちゃんと治せよ、悠」


 大分男勝りな口調だが、ショートカットで細身の彩が言うと、何の違和感もない。